葬儀について
2019.12.10 葬法について
その土地の風土や宗教的な考え方に合わせたさまざまな葬法があります。今回はその多種多様な葬法のなかから「土葬」「火葬」「風葬」「鳥葬」についてご紹介するとともに、それらが「樹木葬」「海洋葬(海洋散骨)」と何が違うのかをご説明いたします。
土葬
穴を掘ってご遺体を地中に埋める方法を「土葬」といいます。「火葬されていない肉体を埋める」という行為そのものを「埋葬」と呼びますが、土葬=埋葬と考えていただいてかまいません。
土葬は現在も法的に認められています。ただし、自治体が特定の場所を土葬禁止区域として定めていたり、墓地の管理者が「この墓地は火葬したお骨でないと受け入れません」と自主的にルールを設けていたりする場合があるので、土葬を予定している土地についての入念な下調べをする必要がありそうです。
また、ご遺体を埋めるためには人件費がかかることも想定しておく必要があります。かつて町内会(組内・隣組)のつながりが強く、お葬式などでの助け合いがあたりまえだった時代は、町内会(組内・隣組)の方の中から穴掘り係が選ばれ、その方がご遺体を埋めるための穴を掘っていました。茨城県の一部地域などではこの係を「六尺(ろくしゃく)」と呼んでいたようです。これは、掘る穴の深さが6尺(=約180cm)であったことに由来しているとも言われていますが、2メートル近い穴を掘るのはかなりの重労働です。お手伝いをしていただける町内会の方がいない場合は、葬儀社に穴掘り係のスタッフや、場合によっては重機を手配させる必要が出てきます。お葬式当日は弔問客の接待等で手一杯なお身内の方が、埋葬の準備をするというのは現実的でないことは言わずもがな。
法的に禁止されてはいないけれども、土葬をするためには、火葬と比べると手間と費用がかかるということは留意しておいたほうがよさそうです。
火葬
現在、日本で最もスタンダードな葬法が火葬です。
火葬は仏教と非常に深いつながりのある葬法です。火葬することを「荼毘に付す」と表現することがありますが、これはもともと仏教用語です。「荼毘」とは古代インドで使われていた言語のひとつであるパーリ語で「燃やす」という意味の「ジャーペーティ(jhāpeti)」の音訳です。古代インドでは亡くなられた方の肉体は火葬するのが主流だったと言われており、お釈迦様も亡くなられたあと火葬されました。日本へは仏教の伝来とともに火葬も伝えられ、また仏教とともに日本全国へと広まってゆきました。
仏教とつながりの深い葬法であったことから、政府の神道派の主張を取り入れて禁止されていた時代もあります。宗教上の問題に加えて、臭いや煤煙が火葬場近隣に住む人々の健康を害するとして問題視されていたことも火葬禁止の主張に拍車をかけていたようです。
現在は技術の進歩により火葬炉の性能が向上したため、臭いや煤煙・有害物質の問題は解決されています。土葬と比較して墓地面積を必要としない点、衛生的である点などから見ても、現代日本で最も合理的な葬法と言えるでしょう。
鳥葬
チベット等では、亡くなられた方は鳥に食べられて天へと運ばれると考えられているため、ご遺体をハゲタカやハゲワシなどの肉食鳥に食べさせる「鳥葬」がおこなわれています。
現実的な問題として、チベットのような高地では植物がそもそも少ないため、火葬のための薪を集めることが難しく、火葬向きの土地ではありません。しかし、ご遺体を土に埋めても地中に微生物がいないため、分解されず土に還りにくいことから土葬向きでもありません。そういった気候的な条件のあるなかで、もっとも理にかなった葬法が鳥葬だったと言われています。
ちなみに日本では、鳥葬は刑法第160条「死体損壊・遺棄罪」に抵触するため、現在は一切行われていません。
「樹木葬」や「海洋葬(海洋散骨)」は葬法ではない
「樹木葬/海洋葬にしたいんだけど、どうしたらいいの?」といったご要望やご質問をいただくことがあります。
結論から申し上げますと、「樹木葬」や「海洋葬(海洋散骨)」は葬法ではありません。現在、一般的に「樹木葬」や「海洋葬(海洋散骨)」と呼ばれているものは、お墓の一種です。いずれも火葬した後のご遺骨をどうするか、というお話になります。樹木葬は墓石の代わりに、植物を目印としたものです。海洋葬(海洋散骨)は墓石に代わる目に見える形のシンボルはありませんが、火葬後のご遺骨を海に撒くもの。ご遺体をそのまま海や川に流すのは日本では法的に禁じられています。火葬前の肉体の処理の方法ではありませんので、「どこのお墓に入れますか?(入れませんか?)」という段になって初めて問題となります。最近では、ご遺骨にバルーンを着けて空へと送る「宇宙葬(バルーン葬)」と呼ばれるようなものもあるようですが、こちらも樹木葬・海洋葬(海洋散骨)と同様、お墓の一種です。
亡くなられた方の肉体をそのままにしておくわけにはまいりませんので、何らかの方法で処理をする必要がありますが、さまざまな条件を考慮したうえで選択をする必要があります。また、「こういった方法で見送ってほしい!」といった特別な要望がある場合は、なおさらそれがどのような手順を踏めばスムーズに実行できるか考える必要があります。
あんしん葬儀社は、このような疑問にお答えする相談サロンを完備しています。お客様の想いを反映したお葬式にするために、どのような疑問にもスタッフが丁寧にお答えします。
相談サロンは午前9時から午後7時まで営業しておりますが、営業時間外でもお電話をいただければ対応することが可能です。是非お気軽にご相談ください。
ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。
代表取締役
荒井 貴大
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